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 脇役が光った『ロミオとジュリエット』
2011年09月24日 (土) | 編集 |
ROMEJULLI1

昨日(23日祝)は赤坂ACTシアターで公演中のミュージカル『ロミオとジュリエット』を見た。この舞台、主役のロミオとジュリエットの他、ティボルト、マーキューショ、死のダンサーと主要な役の多くがダブルキャストになっている。そのため、キャスティングによってイメージもかなり変わるはずだ。ちなみに、私が見たマチネのキャスティングは次の通り。 

ロミオ:山崎育三郎
ジュリエット:フランク莉奈
ティボルト:上原理生
ベンヴォーリオ:浦井健治
マーキューシオ:良知真次
死のダンサー:大貫勇輔
ヴェローナ公:中山昇
キャピレット卿:石井禅
キャピレット夫人:涼風真世
モンタギュー卿:ひのあらた
モンタギュー夫人:大鳥れい
乳母:未来優希
ロレンス神父:安崎求
パリス:岡田亮輔


『ロミオとジュリエット』は既に宝塚歌劇団の星組、雪組で上演しているが、宝塚ファンなのに縁がなく見逃していた。今回、育三郎くんファンである親友がチケットを入手してくれたので、遂に話題作を見ることができた。10月2日までのチケットは完売で立見席しか残っていないそうである。

育三郎くんについては、『ラ・カージュ・オ・フォール』や『モーツァルト!』で歌の実力はよくわかっており、私も彼目当てで劇場に足を運んだわけだが、幕開け早々、ヴェローナ公のよく通る声に引き込まれ、「これって、思ってたのと違うかも」といい意味で期待を裏切られた。パンフレット(黒版は初日舞台写真、白版は稽古風景がのっていて、白を選択)によると、ヴェローナ公役の中山昇さんは文学座付属研究所の出身だが、声量はあるし、歌が非情に上手い。

ひと昔前の日本のミュージカルといえば、男優は四季、女優は宝塚が支えていたけれど、最近はさまざまな分野から進出していて、頼もしい限りである。

『ロミオとジュリエット』とこれまでの映画・演劇との違いは、ミュージカル版が「群集劇」になっている点にある。一つは登場人物が携帯電話をもち、Facebookがセリフに登場するなど、時代設定が現代らしくなっていること。無法都市と化したヴェローナは、宗教であれ理念であれ、二つの勢力がぶつかり合い、若者が闘いや殺戮によってしかエネルギーを発散するすべがない、地球上のいたるところに存在する国家を象徴しているようだ。

脇役にかなりスポットが当てられているのだ。その顕著な例がキャピレット夫人。この人、若い頃はジュリエットと同じように美しかったのにキャピレット卿に愛されず、夫以外の男性と恋に落ち、腹いせにジュリエットを産んだという設定になっている。しかも、そのことをキャピレット卿は知りながら、なお父親として愛情を注いできた心境が、切々としたナンバーとなって歌われる! 人間関係といい苦悩の仕方といい、現代的なのだ。このキャピレット夫人、女盛りとなったいまは、甥のティボルトと肉体関係をもっていて、彼にかなり執着している。ところが、ティボルトが本当に愛しているのはジュリエットで、いとこ同士の結婚が認められていないヴェローナで彼の恋が成就する見込みはない。そのため、ティボルトは鬱屈した感情を宿敵モンタギューに向けている。さらに、ティボルトの本心に気づいているキャピレット夫人は女として娘に嫉妬しており、ジュリエットを家柄がよく資産家のパリスと結婚させようとする。

キャピレット夫人役の涼風真世さんは宝塚のトップスター時代から歌の上手さに定評があったが、ビロードのような美声に益々磨きがかかり、聴き惚れるばかり。本当に歌の上手い人だ。娘に嫉妬し、娘を自分と同じように不幸な結婚へと追いやる嫌な女の役なのだが、可愛らしいタイプの美人のうえ、声が低めで所作が男らしいので、女の厭らしさを感じさせない。

彼女とからむティボルト役は上原理生さん。この人を舞台で見るのは初めてだったが、藝大出身だけに、音程が正確で声がいい。特にイケメンというわけではないのだが、存在感があって妙に魅力のある人だ。私的には<彼が主役>と思うほど気に入ってしまった。

それから、あまりの歌の上手さに衝撃を受けたのが、乳母役の未来優希さん。この人も宝塚の男役出身(なぜか男役に歌の上手い人が多い)なのだが、面白いことに、涼風真世さんが退団した月組の『グランドホテル/BROADWAY BOYS』で初舞台を踏んでいる。しかも、同期にはモンタギュー夫人を演じている大鳥れいさんがいる。大鳥さんは娘役のトップだったが、『エリザベート』でエリザベートを演じているところをみると、やはり“歌の人”なのだろう。

残念ながら、未来優希さんの在団時代が私の宝塚空白時代と重なるため当時の舞台を見ていないのだが、パンフレットの解説によれば「豊かな歌唱力が魅力の男役として、抜群の存在感で数々の舞台を踏み、2008年より雪組副組長を務め、2010年退団」とある。

音楽学校を主席で卒業したというから実力のある人なのだろうが、音域が広く、テクニックが卓越していて、いつまでも声を聴いていたいと思わせる心地よさがある。第5場Bでロレンス神父役の安崎求さんとデュエットする「♪神はまだお見捨てにならない」は素晴らしく、吸い込まれるようだ。

のっけから脇役について熱く語ってしまったが、育三郎くんのロミオいぴったりでとてもよかった。もともと歌で感情を表現できるテクニックと気持ちのいい声の持ち主で、実力があるのはわかっていたが、今回の舞台ではダンスのキレのよさが目を引いた。一舞台ごとに成長している。

ジュリエット役のフランク莉奈ちゃんは18歳だけあって、ハワイから来た少女という感じ。高音が少々厳しいのが気になったが、背が高くてスタイルがよく、のびのびしている。クセがない人なので、もしかしたら将来大化けするかも・・??

ベンヴォーリオの浦井健治さんは三谷幸喜の『ベッジ・パードン』で見たばかり。ストレートプレイでかなり二枚目を逸脱した役で新境地を開いてはいたのだが、歌を聴くと「ああ、やっぱりミュージカルがいいナ」と思ってしまう。育三郎くんと同じく、生理的に気持ちのいい声なのだ。ベンヴォーリオはロミオを優しく見守る“マブダチ”の役で柄に合っていたのだが、私的には逆にこの人がマーキューシオを演じてくれたら面白かったのにと思った。一度、え!っと思うような悪役とか、屈折した役をミュージカルで見てみたい。

そのマーキューシオ役は良知真次さん。この人の舞台は初めて見たが、「キュート」な魅力があった。まだ少年っぽさを残していて、育三郎くん、浦井健治さん、良知真次さんのトリオは、青春を駆け抜けている若者の疾走感を醸し出していたと思う。

最後にもう一つ、異色なのは、最初から最後まで、ロミオに死のダンサーが付きまとっていること。ロミオはジュリエットと一目で恋に落ちるけれど、常に死の予感におびえている若者なのだ。だから、二人の恋はどこか陰りを帯びている。死のダンサー役の大貫勇輔さん歌もセリフもないのだが、長身で均整のとれた体の持ち主で、主役二人を奈落の底に引きずりこむ死神をムードたっぷりに演じていた。

ミュージカル版『ロミオとジュリエット』はメロディーラインの親しみやすさという点では、『ウェストサイドストーリー』の“Tonight”「トゥナイト」や“Maria”「マリア」と肩を並べるナンバーをもたないが、各々の登場人物が主人公二人の添え物的な存在でなく、独立した「人間」として描かれているところが秀逸だった。タイトルは『ロミオとジュリエット』だが、優れたアンサンブルを楽しむ舞台だと思う。

余談だが、最後の舞台挨拶で、育三郎くんが「親友が結婚することになったけど、大阪公演で結婚式に出られないので、今日客席に来てくれた。○○くん、結婚おめでとう!」と呼びかけていて、微笑ましかった。最後は客席総立ちで拍手喝采、若者パワー炸裂で元気を充電できた3時間でした。

出演者のみなさん、ありがとう!
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