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 映画「建築学概論」
2013年08月20日 (火) | 編集 |
建築学概論

 “韓国で400万人超の大ヒット”した映画「建築学概論」を16日、シネマート六本木で見てきました。自分でもモノ好きだと思うのですが、主演のオム・テウンが好きなのと、「初恋の人に家を建ててもらう」という発想が新鮮で面白いと思ったのです。お目当てはあくまで「嘆きのピエタ」でしたが、ピエタだけでは暗すぎるかもと思い、恋愛ものを抱き合わせにしたんです。

 ストーリーは現在と過去が交互に進みます。冒頭、建築事務所に勤務するスンミン(オム・テウン)のもとに「久しぶりね。私を憶えてる?」とソヨン(ハン・ガイン)が突然現れ、チェジュドにある父親の土地に家を建てて欲しいと頼みます。ソヨンは医者の妻だといい、服もバッグも車も、すべてがお金持ちのマダムそのものです。

 15年ぶりの再会に戸惑うスンミン。自分は個人の家は苦手だし、直接仕事を引き受ける立場にないと断りますが、結局、家を設計することになります。そして、会話を重ねるうちに、徐々に過去の記憶が蘇り、それと同時にソヨンの現在の状況も明らかになっていくのです。

 大学時代は若い俳優が演じています。二人が親しくなったきっかけは、大学1年のとき、同じ“建築学概論”の授業をとったことがきっかけでした。その授業は毎回宿題が出るのですが、第1回目は自分の住む町を好きになるために、写真と撮ってレポートすること。スンミン(イ・ジェフン)は音楽科の女子学生ソヨン(スジ)のから、二人とも同じチョンノ(鍾路)区に家があるのだから、一緒に宿題をやろうと提案されます。

 奥手のスンミンですが、すぐに可愛いソヨンに夢中になります。ですが、自分の気持ちを上手く表現することができず、いよいよ告白という段階になって、ちょっとした行き違いから、一方的に別れを告げてしまうのです。イ・ジェフンの初恋に有頂天になる内気な少年の演技は素晴らしかったですね。スジもちょっとわがままで気が強いけど、実は純情な少女の役がぴったりでした。

 ソヨンは金持ちの先輩が好きなのだと誤解して一方的に別れを告げたスンヨンでしたが、家が完成した夜、ソヨンもスンヨンのことをずっと想っていたことが判明します。その瞬間、スンミンはソヨンを抱き寄せ、二人は情熱的な接吻を交わすのです。ですが、スンヨンには同じ事務所に勤務する美人でお金持ちの婚約者がおり、一緒に米国へ旅立つことが決まっていました。人生をリセットして、離婚して独り身になったソヨンとやりなおすべきか。スンヨンの心は揺れ動き、結婚式の準備にも身が入りません。果たして彼の決断は・・・。

 ストーリーだけ追うと、婚約破棄しなかった「冬のソナタ」のユジンみたいな話ですが、印象はだいぶ違います。なぜなら、この映画の隠されたテーマは「格差」だからです。スンミンとソヨンの家があるのは歴史的な建造物がたくさんある江北エリア。でも、どうやらソウルでは後から開発されたおしゃれな江南エリアの方がお金持ちがたくさん住んでいるらしいのです。。

 ソヨンとスンミンは同じ町に住み、同じバスに乗って通学することで仲良くなるわけですが、父親の友人の家に居候していたスンヨンが、江南エリアのアパートに引っ越したことから、二人の世界にお金持ちでやはり江南の素敵なマンションに住む先輩が割り込んでくる形になって、関係性が変わってくるんですね。

 ですから、ソヨンに告白しようとして真夜中まで彼女のアパートの前で待っていたスンミンが、酔って先輩と帰ってきた彼女を見て誤解し、タクシーで家に帰ろうと「江北へ」と言ったとき、「この時間に北へは行かない」と運転手に断られ、深く傷つくわけです。大好きなソヨンが「住む世界が違う」ところへ行ったしまった絶望がよく出ていて、胸が痛むシーンでした。

 「冬のソナタ」のユジンは恋の人チュンサンが婚約式の日に目の前に現れたとき、人生の舵を思いっきり彼の方へ切ってしまいます。スンヨンも金持ちの恋人にどこか馴染めないものを感じ、ソヨンと一緒に人生をリセットしようか迷うのですが、苦労して女手一つで息子を育てた母親は彼に貯金通帳を差し出し、「馬鹿なことを言ってないで、お嫁さんを大事にしなさい」と一喝し、自分とは違う階級へと息子を送り出します。そんな母親を前にして、スンミンはソヨンへの恋心を押し通すことができなくなります。母の愛は偉大ですね。

 最期に、金持ちに憧れていたソヨンは出身地であるチェジュ島に戻り、スンヨンが建てた家で、余命いくばくもない父親と一緒にピアノ教師として生計をたてる決意をし、スンヨンは結婚して妻と共にアメリカへ旅立ちます。そして、チェジュ島のソヨンのもとに、スンヨンからフォークユニット展覧会のCDとCDプレイヤーが送られてきます。初雪が降ったら会おうと約束した韓屋にソヨンがおいてきたものでした。いくら待っても現れなかったスンヨンですが、自分が去ったあと、彼は約束どおり、韓屋に行っていたのです。(挿入歌になった展覧会の「記憶の習作」、とてもいい曲です)。

 人は人生で一番好きだった人と結婚できるとは限らないし、若い頃にいろいろな夢を持っていても、それがすべて叶う人は滅多にいません。でも、一つか二つは叶うことがあるし、結ばれなくても、自分をずっと想っていてくれた人がいたことは人生の慰めになる。そんなことを思いながら、この映画を何度も見た人がきっとたくさんいたことでしょう。

 「建築学概論」は韓国には珍しく、淡々とした色合いの、瑞々しさとほろ苦さが混じりあった、日本のドラマに近いような映画でした。外国人が見ると、自分でソウルの町を歩いているような気になります。ちなみに、監督は10年間、本当に建築士として働いた方だそうです。自分の実体験もちょっと混じっているのかもしれません。

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