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 春野寿美礼「エリザベート」観劇記
2012年05月21日 (月) | 編集 |
エリザベート

 5月18日(木)、帝劇でミュージカル「エリザベート」を観劇。10年近く前に一路真輝・内野聖陽のコンビで見ているが、今回はキャストが一新され、同じなのはエリザベートを暗殺したルイジ・ルキーニ役の嶋政宏さんくらい。私と友人のお目当ては、宝塚時代に男役としてトートを演じた春野寿美礼さんとルキーニを演じた瀬奈じゅんさんがどれくらい女性らしくエリザベートを演じているかということだった。
 このお二人、宝塚時代から仲のよいことで有名で、共に歌にも定評があったのだが、何しろ男役と女性とでは音域が違う。瀬奈さんは宝塚でも、また退団後にもエリザベートを演じているけれど、私は両方とも見ておらず、それは来月までお預けということで、まずは春野エリザベートをお気に入りの人たちとの組み合わせで見ようということで、次のようなキャストになった。

エリザベート 春野寿美礼
トート    石丸幹二
フランツ・ヨーゼフ 岡田浩暉
ゾフィー   寿ひずる
ルドルフ   大野拓朗
少年ルドルフ 坂口湧久

ルイジ・ルキーニ(暗殺者)嶋政宏
マックス(エリザベートの父) 今井清隆
ルドヴィカ(エリザベートの母)春風ひとみ
ヘレーネ(エリザベートの姉) 南海まり

 まず、意外だったのは春野さんの少女時代のエリザベートが可愛くて自然だったこと。宝塚時代は男らしい男役というイメージだったし、顔立ちから言っても「16歳の少女はちょっと」と思っていたのだが、舞台は遠目ということもあって(笑)、声と全体から受ける印象はきわめてナチュラルだった。
 これはエリザベートが結婚して、大人の女性になってからも言えることで、一緒に見た友人いわく「エリザベートは身長が172センチもあったから、プロポーションから言ったら、春野さんが一番本物に近いんじゃない」と。なるほど、そうかも。ウエスト50センチ、体重50キロというのも、スリムだから近いかもしれない。

 個人的に私が感心したのは、春野さんの「声量がある」ということ。フランツ・ヨーゼフ役の岡田浩暉さんはシアタークリエえ「ブラッド・ブラザーズ」を見て、声のよさからファンになったのだが、二人で並んで唄うと、春野さんの声の豊かさが際立っている感じがした。それがフランツ・ヨーゼフとエリザベートの力関係を象徴しているようで、この作品にはお似合いなのだが。

 トートの石丸幹二さんは流石に歌が上手い。内野聖陽さんのトートの時は「この人に歌が唄えるんだろうか?」とハラハラしてみていたし、セリフが音楽にのってるような感じで、トートが唄っていたという記憶がすっぽり抜けていた(笑)。それが石丸さんのトートを見て、「トートって、こんなに歌の多い役だったのか!!」とびっくり。演じる人が違うと、こんなに役の印象が変わるとは驚きだ。

 ところが、それなら内野トートが悪かったかといえば、皮肉なことに、キャラクター的には内野さんは悪くなかったと、石丸トートを見て気づかされた。トートというのは、強引にエリザベートを黄泉の国へ引きずっていこうとする悪役なので、ちょっとワイルドな、自分勝手なキャラじゃないといけない。ところが、いつも石丸さんの恋に悩む貴公子とか芸術家の役とかを見ているせいか、どうもトートそのものというより、「貴公子が悪役を演じている」という印象を受けてしまって、「キャラから言えば、石丸さんはフランツ・ヨーゼフの方が合っていたのでは」と思ってしまうのだ。

 ゾフィーの寿ひずるさん、宝塚の二番手時代の舞台から一足飛びにゾフィー大公妃だから、ちょっとギャップがありすぎた。初風淳さんなら「相変わらず歌が上手いなあ」でいいんだけど、「え、あの寿さんが、あの役を」って感じて、怖さ倍増。芝居も歌も上手いし、問題はどこにもないのだけれど、今度はもっと違う役で見てみたい。

 ルドルフの大野拓朗くんは日本人離れしたお顔とプロポーションで本当に美しかった。歌の方は将来に期待しましょうというところだけれど、役にぴったり。この人ならロミオとかウェストサイド物語のトニーとか、二枚目役はなんでも似合いそう。それから、少年ルドルフの坂口湧久くんも食べちゃいたいくらい可愛らしい。しかも、幼いのに歌が上手いこと。今どきの子役はプロ根性が大人顔負けだ。

 エリザベートの母親役の春風ひとみさん、父親役の今井清隆さんはいつもながら、芸達者ぶりを発揮。リヒテンシュタイン伯爵夫人役の小笠原みち子さんも歌が上手で、思わず隣りにいる友人に「この人、宝塚の人? 名前がヅカっぽくないけど」と尋ねたら調べてくれて、ヅカ時代は如月巳麗(きさらぎみれい)という芸名だとか。日向薫さんの同期だという。

 東宝ミュージカルって、主演女優は宝塚、主演男優は劇団四季の出身者が本当に多い。宝塚も最近は結婚して引退するスターさんはほとんどいなくて、二つの劇団はミュージカル俳優養成所でもあるんだなと思わされる。

 さて、最後にルキーニの嶋政宏さん。他の主要キャストがダブルかトリプルなのに、なぜかこの人だけ出ずっぱりなのに一人で演じていて、体調管理が大変だろうなとか、1000回以上も演じたら飽きないだろうかなどと、余計な心配をしてしまうのだか、更にパワーアップしていて感心した。この役は狂言回しで、セリフが不明瞭だと話自体が見えなくなってしまう大事な役だ。
 宝塚でも轟悠、紫吹淳、湖月わたる、瀬奈じゅん、霧矢大夢、音月桂、龍真咲とトップスターかトップ候補が演じている。高島さんは容貌も実際のルキーニに似ているし、セリフにリズムが合って、スムーズに次の場面につなげているところがさすがだと思った。この人がトートをやってみたらどんな感じだろう。ちなみに、無政府主義者のルキーニが「王侯なら誰でも良くて」君主制を否定したエリザベートを暗殺したというのは、皮肉といえば皮肉である。

 エリザベートは庶民の感覚からすると、夫や子供を放り出して18年間も放浪の旅を続け、国民から搾り取ったお金を贅沢な宮殿建設や美貌を保つために使ったりして、実に自分勝手な「自由」を追い求めた女性だ。その「自由」のツケを晩年払うことになるわけで、この物語は「義務と自由」にどう対峙すべきかという問いを観客に問いかけているのだ。
 彼女に多くの人が魅かれるのは、類まれなる美貌と共に、徹底した意思の強さ、わがままさを貫き通した人生が羨ましいからではないだろうか。人間的に強くなければ、そんな生き方はできないし、大抵の人はどちらも中途半端な人生を送ってしまう。かくいう私も、飼い猫に恨まれるのが怖くて、1拍2日の温泉旅行すら実行できないありさまだ。
 エリザベートは歌舞伎でいったら、立女形みたいな役。だから、元宝塚の男役スターに似合うのだろう。

 平日のマチネなのに少なくとも1階は満席。観客は宝塚ファンとかなりかぶっていて、開演前も「キリヤン(霧矢大夢)がね・・・」といった会話が隣の方から聞こえてきた。幕が降りると、スタディングオベーションで熱い拍手が送られていた。春野さんのファンが多いのだろうか、90%以上が女性で、いつもながら、日本の文化は女性が担っているなと思うのであった。
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