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 「ドン・カルロス」に見る宝塚的ハッピーエンド
2012年05月11日 (金) | 編集 |
カルロス

 今年は宝塚の男役トップの退団ラッシュである。4月の霧矢大夢(94年入団)、7月の大空祐飛(92年入団)はともかく、98年入団の音月桂の退団発表には驚かされた。といっても、実は私、2年前にヅカに復帰して以来、「ロミオとジュリエット」のチケットは入手できず、「仮面の男」は仕事で身動きとれずで雪組に縁がなく、音月さんの舞台を見るのはこの「ドン・カルロス」が初めてなのだ。3拍子揃った男役、特に歌唱力に定評のある音月さんとの最初の出会いが退団発表の後というのは、なんとも複雑な心境である。

 という状況の中で見た「ドン・カルロス」。一言でいって、予想外の秀作だった。史実では獄死しており、父のフェリペ二世によって、母である王妃エリザベートと共に毒殺されたとの噂もあるカルロスなので、暗い話を予想していたのだが、最後が宝塚的に脚色されてハッピーエンドだったし、キャスティングもぴったりだったと思う。
 パンフレットによると、この宝塚版は脚本・演出の木村信司先生が亡くなる間際のフェリペ二世の心境に想いをはせ、「本当はこうであったなら」という人が未来に期するものを形にしようと生み出したものだという。

 舞台は16世紀後半のスペイン。王太子ドン・カルロスは父であるフェリペ二世に王妃との仲を疑われる。実際にカルロスが愛しているのは王妃の女官レオノールなのだが、フランスから嫁いできた王妃イザベルはもともとはカルロスの婚約者で、国同士の政治的な駆け引きでフェリペ二世の妻となったいきさつがあったからだ。
 一方、カルロスの親友であるポーザ侯爵は、ネーデルラント(現在のベルギー、オランダ、ルクセンブルクあたり)の新教徒が弾圧される惨状を目の当たりにし、カルロスに「フェリペ2世に弾圧を控えるよう進言して欲しい」と頼む。カルロスは王太子の立場でそれはできないと断りつつ、ドイツ語の聖書をポーザ侯爵から譲り受け、自分一人の力でネーデルラントを救う方法はないかと考える。
 ポーザ侯爵とカルロスは同じ想いを抱きながら行き違い、やがてカルロスは王妃と密会する現場で捕えられ、異端審問を受けるのだが、最後には疑いが晴れ、レオノーラの手を取って旅に出る・・・というストーリー。

 音月桂はソフトで温かみのある人なので、やさしい王子様という役柄がよく似合っていた。定評通り、歌が上手くいい声なので、聴いていて気持ちがいい。それに対し、疑い深く冷徹さを持つフェリペ二世の未涼亜紀も秀逸。この人も歌・演技ともに申し分ない。ネーデルラントを救いたいと思うあまり、親友である王子を裏切るという複雑さを併せ持つポーザ侯爵に早霧せいな。

 女役が添え物になりがちな宝塚にしては、原作がしっかりしているせいか、演じがいのある役が多く、相手役のレオノーラ舞羽美海の他にも、沙月愛奈のイザベル、エボリ公女の愛加あゆ、ファリペ二世の妹でカルロスの母親代わりとなった伯母ファナ役の涼花リサと、各々しっかりとした背景をもつ、演じがいのある役を好演していた。ただ、レオノーラが女官なので、衣装が地味で目立たなかったのはちょっと残念だった。

 引っかかったのは、王太子のカルロスが女官のレオノールに敬語を使うところとエボリ公女がポーザ侯爵と不倫して子供が産まれていたというエピソード。当時、王族は臣下とでさえ結婚しなかった時代なのに敬語は不自然。それからシラーの原作ではエボリ公女はカルロスが好きで、王妃とカルロスの仲を嫉妬する役なのに、なぜポーザ侯爵?と思うし、そもそもこのエピソードは必要なかったのでは。とはいえ、全体の好印象を壊すほどの欠点ではない。

 人によっては雪組は「音月桂以外は歌がねぇ・・・」という人もいるのだが、画家ティツィアーノの沙央くらま、異端審問長官の奏乃はるとは目立って歌がよかったし、下級生のコーラスも綺麗だった。

 ショーの「Shining Rhythm!」では中堅の男役に意識して見せ場を作っているような気がして、音月さんも退団するのだし、早く成長してくれよという劇団の祈りを感じたような気がする。。
 最後にショーの衣装が美しかったことと、エトワール透水さらさの歌声が際立っていたことを挙げて、筆をおきたいと思う。
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