観劇・映画・ドラマ、ボルダリング、シーカヤック、健康法など、好きなこと、実践していること、興味のあることを徒然なるままに書いてみようと思います。
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 「ジャン・ルイ・ファージョン~王妃の調香師~」
2012年10月01日 (月) | 編集 |
ジャンルイ

 宝塚星組、紅ゆずるさん主演「ジャン・ルイ・ファージョン~王妃の調香師~」を28日(金)13時に観劇。作・演出が植田景子先生なので大きな破綻はないと思っていたが、予想以上のクオリティの高さで、見てよかった~。本当は毎日でも見たかったけれど、タイトな締切はそれを許してくれず、1回のみの観劇に(泣)。終演後は打ち合わせのため、出版社へ向かった私であった。
 
 主役は王妃マリー・アントワネットと親交のあった王室御用達の香水商ジャン・ルイ・ファージョン。王妃への秘めた想いを香水づくりの情熱へと転化しつつも、自由、平等、友愛を旗印に掲げる革命の理想を支持する彼は、さながら「平民版オスカル」といった趣。宝塚にぴったりのテーマなのだが、全編の半分は革命裁判所内の法廷場面だ。死を覚悟したジャン・ルイが牢の中で自分の想いを綴った手記を息子ルネに書き綴り、それを弁護士のアントン・バレルが読むうちに回想場面へという趣向なので、革命後の法廷・牢獄と華やかな宮殿を行ったり来たり。場面転換がありすぎて慌ただしくなりそうなところだが、そこのバランスが絶妙に取れているところはさすが植田先生である。

 調香師というテーマも興味深い。現代の香水より扱うテリトリーがずっと広くて、気付け薬だの顔に付けるローズ水だのと、化粧品メーカーと薬品会社を兼ねた存在だったようだ。また、ジャン・ルイ・ファージョンが動物ではなく花を原料にする調香師の先駆的存在だったこともわかり、フランスの代名詞である香水の黎明期の物語としても面白かった。

 舞台では語られなかったが、当時のベルサイユ宮殿はトイレがなかったそうで、すごく不潔で香水は必需品だったらしい。マリー・アントワネットはオーストリアの出身なので、風呂に入る習慣のないフランス貴族からよく風呂に入ることでも馬鹿にされるというようなセリフがあって、異国から嫁いだ王妃の孤独がその具体的な一言に象徴されているようで、秀逸だった。

 前置きが長くなったが、出演者はどうだったかというと・・・・。

ジャン・ルイ・ファージョン 紅ゆずるさん
 紅さんファンの私としては、何より大満足だったのが、彼女の美しさが堪能できたこと(笑)。もともと芝居心があって、どんな役をやっても人間性が出るというか、温かさが滲む人だから、今回の理想と王妃への愛というアンビバレントな感情に悩むジャン・ルイをとてもよく表現していた。
 ブーツ姿の足の細さ、薄紫の衣装の華やかさ、最後のエピローグのダンスの堂々としたスターぶり。「メイちゃんの執事」の時は紅さんが主役であることに感動していたけれど、「ジャン・ルイ・ファージョン」では押しも押されぬスターの輝きが。それに、1年半前に比べ、歌が格段に上手くなったような。いやあ、魅せられました!
 
マリー・アントワネット 早乙女わかば
 とにかく、目が大きくて美しく、容姿がアントワネットにぴったり。プチ・トリアノン時代はそれなりにハマっててよかった気がするけれど、一緒に見ていた友人いわく「(野々)すみ花だったら、後半はもっと違ってたのに」と。まあ、宝塚の北島マヤ、すみ花ちゃんと比べても気の毒とは思うけど、発声、歌、踊り、演技、どれか一つ、ズバ抜けたものがあったらいいのに、それがないから、全体的にぼやけた雰囲気に。衣装のせいかもしれないが、踊りもう~んという感じで、紅さんの相手役としては、やや役不足の感は否めなかった。

ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン伯爵 真風涼帆
 青年館の舞台で見ると、真風さんって、こんなに背が高かったっけ?というのが第一印象。この人、「ロミオとジュリエット」の“死”の時も思ったけど、すごく存在感があるのだ。歌も演技も上手くて優等生なのだけれど、陽性の紅さんとは一味違った、やや影のある存在感。そこがこの二人の並びの面白いところだと思う。
 フェルゼンのキャラクターはベルばらと同じなので驚きはないのだけれど、今回、国王一家が逮捕された「ヴァレンヌ事件」が詳しく描かれていて、革命後に国王一家を助けようとしたフェルゼンの勇気と誠実さに打たれてしまった。真風さんは演技の点ではちょっと茫洋としたところがあるのだけれど、彼女の持ち味に誠実に生きるフェルゼンは合っているように思う。

アントン・バレル(弁護士) 美城れん ジャン・ルイ・ファージョンの手記を託され、読み上げるジャン・ルイの弁護士アントン・バレルは狂言回しとして非常に重要だが、美城れんは発声もいいし、安定した演技が素晴らしかった。この方、84期で音月桂、未涼亜希、北翔海莉、遠野あすかの同期なんだ。スターもいいけど、手堅い脇役もすごく大事。この人の芝居の上手さはこの舞台の一番の発見だった。

ヴィクトワール・ファージョン 綺咲愛里
 私はよく知らないけれど、噂の?96期生。お顔は可愛いし、及第点の奥様だったと思う。歌や踊りはあったっけ? とにかく、演技はちゃんとしていた。

タリアン 漣レイラ 
 プログラムのメインキャストには載っていなかったけれど、このジャン=ランベール・タリアンは重要な役で、彼がロベス・ピエールを打倒してくれなかったら、ジャン・ルイの命は助からなかった。この人、元侯爵夫人テレーズ・カバリュスと恋仲になって、彼女を救いたくて弾圧の手を緩め、ロベス・ピエールを失脚させてしまうわけで、そこらへんの事情が出てないからチョイ役になっているけど、歴史上では有名な人物なのだ。で、漣レイラさん。タリアンにしては若すぎるというか、いかにも青年という感じだけど、セリフはしっかりしてたし、魅力的で印象に残った役の一つ。これからいい役者さんになりそうな予感がした。

ロザリー 城妃美怜
 ベルばらでは重要な役、ロザリー。なぜかジャン・ルイにも出していて、可愛らしかった。出番が多いわけではないけど、セリフもちゃんとしていて、芝居心があったと思う。

 毎月のように宝塚を見ているのに、なぜか初青年館だった私。建物は古めかしいけれど、普段目に留めていない下級生の活躍が見られて楽しめた。最後に、紅さんの幕切れの一言「外はまだ明るいです。楽しい1日を!(だったと思う)」に素が出ていて笑ってしまった。


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