観劇・映画・ドラマ、ボルダリング、シーカヤック、健康法など、好きなこと、実践していること、興味のあることを徒然なるままに書いてみようと思います。
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 「きみはペット」の楽しみはおなじみの脇役
2012年02月08日 (水) | 編集 |
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TOHOシネマズのマイレージがたまったので、暗い世相に肩のこらないラブコメを見ようと(なんか言い訳がましいが)、六本木ヒルズでチャン・グンソクくん主演の映画「きみはペット」を鑑賞。3割ほど埋まった客席に座っているのは全員女性だった。

「きみはペット」の原作は元読売新聞の記者だった小川彌生が実体験をもとに描いて大ヒットした漫画で、日本では小雪・松本潤主演でテレビドラマhttp://www.tbs.co.jp/kimipe/になっている。私はまだドラマを見ていないのだが、ドラマの方もかなりいい出来だったらしい。長身でゴージャスな小雪に小柄なマツジュンというキャスティングがよかっったのかも。

さて、韓国映画のキャスティングはというと、小雪がやっていた30過ぎのキャリアウーマン役がキム・ハヌル。韓国でもラブコメの女王と言われているヒットメーカーらしい。元モデルだけあって、ミニスカートから出る足の美しさにはほれぼれするのだが、どうもルックスが地味というか、ちょっと薄幸そうな顔立ちがひっかかる。グンソクくんはというと、身長182センチで、168センチと女性にしては長身のキム・ハヌルよりさらに高いから、サイズ的に子犬という感じはしないのだけれど、「美男ですね」のオレサマキャラと真逆の役柄にそれほど違和感を感じないのは、演技の幅広さを物語っているような。

ストーリーはアメリカ留学経験もある出版社勤めのキャリアウーマンチ・ウニが、報道部門から女性誌に左遷され、編集長や同僚には「アメリカ帰りを鼻にかけた嫌な女」として疎まれ、「君は一人で生きていける」と恋人にもふられたどん底状態で、ひょんなことから弟の先輩でダンサーのカン・イノをペットの犬「モモ」として飼う(同居する)ことになるというもの。原作の設定を新聞社から出版社に、東大卒をアメリカ留学帰りに変えている。そこに、学生時代あこがれていて、かつて関係のあったコンサルティング会社勤務の大学の先輩チャ・ウソンが同じビルに勤務することになり、付き合おうといわれて有頂天になる。しかし、好かれたいと思うあまり、ハイヒールをはいてデートに行って足を痛めたりと、緊張の連続で気が休まらない。一緒にいて楽しいのは愛犬「モモ」の方で、一泊二日の「プロポーズ旅行」に出かけたにもかかわらず、ウニは「モモにえさをやらないと」とウソンをおき去りにして家に帰ってしまう。三高(もう死語だが)でルックスのいい先輩か、ダンサーで10歳近く年下のイノか、さて主人公の決断やいかに・・・というもの。この話、イノはペットだから、愛犬モモが好きなのか、人間としてのイノが好きなのか、チノ自身も混乱してしまうところがミソである。

この映画を見ていて思い出したのは、『「尊敬」という言葉がでたら恋ではない』という友達の言葉だった。主人公は本当に先輩が好きなのだけれど、好かれたいという気持ちが強すぎて無理をしてしまう。ショーウィンドウであれが着たいと毎日眺めていたドレスがいざ手に入ってみると、ちょっとウェストがきついし、汚れるのが怖くて好きな珈琲も飲めないし、カレーも食べられないしで、あんまりハッピーじゃない。これならいつものジーンズにGAPのセーターの方がよかったということだ。だけど、そうストレートに言われてしまった先輩もけっこう傷ついてしまうのだ。それって、お見合いで「私には過ぎた人ですが・・・」と言われたのと同じだから。お決まりのパターンをたどるラブコメなのだけれど、男と同じハードワークを要求されるキャリアウーマンに必要なのは、癒してくれる男なんだよという男女逆転のパラドックスがヒットした理由なのだろう。私が思うに、人間ってどんな人でも、世界に一人くらいは甘えさせてくれる人が必要だと思うし、それがなければ生きていけない動物なのではないだろか。だけど、理不尽にふられた先輩はかなりお気の毒で、実は自分に正直に生きるって、人を傷つけながら生きるということなんだよ、という隠れたメッセージが伝わってくるような・・・。

ストーリー展開はラブコメの定番を踏襲しているので、見ておトク感があったのは、韓国の時代劇で見ていたおなじみの脇役たちが何人も出演していたこと。あこがれの先輩を演じていたのは「ファン・ジニ」でジニに執着しながら恋路の邪魔をする王族ビョッケスを演じていたリュ・テジュン。本当に目鼻立ちの整った人で、韓国ではきれいすぎる人はいつも悪役に回されてしまうのだけれど、今回は完璧なエリートながら性格も「いい人」を演じていて、コミカルないい味を出していた。

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それから、編集部のちょっと意地悪な後輩を演じているのは「トンイ」で監察府(カムチャルブ)の尚宮チョンイムを演じたチョン・ユミ。「韓国のアメリ」と言われているらしい。確かに髪型を変えるとそんな感じ。くせのない爽やかな容貌の人だけど、悪役も似合うのは新鮮だった。

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そして、厳しくも人間味のある編集長を演じているのは、「善徳女王」で主人公トンマンの命を狙うミシルの護衛兵チルスクを演じたアン・ギルガン。
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いかにも悪役っぽい面構えなのだが、どこか人間味が感じられて、私は大好き。実は一番感動したのは、ギルガン様が現代ものを演じる姿を見られたことかも。

世紀の大傑作ではないけれど、「きみはペット」はビジュアル的にもなかなかセンスのよいラブコメでありました。

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 『ジュリー&ジュリア』 妻の潜在能力を信じる夫の愛に拍手
2011年09月29日 (木) | 編集 |
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 『ジュリー&ジュリア(Julie & Julia)』は2009年にヒットしたアメリカ映画である。
 映画館で予告編を見たときは、正直、何の映画かよくわからず、あまり見に行きたいと思わなかった。ところが、タイトルにもなっているジュリア・チャイルドという女性、アメリカの家庭料理に革命を起こした超有名な料理研究家だと米国育ちの親友から聞き、興味が湧いてDVDで鑑賞してみた。

 映画の主人公は二人。一人は1960年代にフランス料理本『王道のフランス料理“Mastering the Art of French”』がベストセラーとなり、テレビの料理番組“The French Chef”でパーソナリティ務めたジュリア・チャイルド。

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 もう一人は熱烈なジュリアのファンで、40年後にその本にある全レシピ542を1年で再現するブログ“Julie/Julia Project”を綴ったジュリー・パウエル。ジュリーも実在の人物でブログの話も実話である。
 映画はこの二人が新天地で生活をスタートし、料理に出会ったことで成功を手にするまでを同時併行で描いていく。

 ジュリアは国務省に勤務する夫ポールの赴任地パリで自分がやりたいことを模索する奥さんとして登場する。
身長は188センチとビッグだが、食べることと料理が大好きで、おおらかで陽気な性格。誰にでも愛される人物だ。だが、夫婦仲がいいのに子供ができないという悩みも抱えている。

 アメリカにいた頃は高級家具会社でコピーライターをしたり、CIAの前身であるOSS(戦略諜報)でリサーチャーのアシスタントとして働くなど、当時としては珍しいキャリア・ウーマンだったが、パリで専業主婦になるとヒマをもて余し、帽子づくりやカードを習ったりするが長続きしない。ところが、名門料理学校のル コルドン・ブルーに入学し、男ばかりのプロ養成クラスでてフランス料理を習い始めたところ、立ちふさがる壁を次々と突破して、みるみる頭角を現していく。

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 ジュリーは編集者の夫エリックと飼い猫とともにニューヨーク市のクイーンズにやってくる。
住民の50%近くが移民という地区だが、83㎡という広さに魅かれてピザ屋の2階に入居したのだ。
住環境はパリの瀟洒なアパルトマンで暮らすジュリアと対照的である。

 彼女はコールセンターでクレームを受け付ける29歳のダメOL。アシスタントをアゴで使うキャリア・ウーマンの友人たちから「お気の毒に」とバカにされている。小説家を目指していたが作品を完成させたことはなく、何をやっても中途半端だ。

 見かねたエリックがブログをやれと勧め、何を書こうかと考えたとき、実家にずっとおいてあったが、母親が一度も開いたことのなかったジュリアの料理本をテーマにしようと思いつく。フルタイムで働き、帰宅が9時になることもあるのに、毎日料理してレシピを再現するという無謀なプロジェクトに挑もうと決めたのは、30歳を目前に控え、自分を変えたいという強い想いからだった。

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 ジュリアに扮するのは『ディア・ハンター』『ソフィーの選択』『プラダを着た悪魔』などの名女優メリル・ストリープ。一方、ジュリーを演じるのは『魔法にかけられて』『サンシャイン・クリーニング』のエイミー・アダムス。彼女は『ダウト』で、さらに夫ポール役のスタンリー・トゥッチは『プラダを着た悪魔』でメリル・ストリープと共演している。
 
メリル・ストリープの役作りにかける執念は有名だが、この作品ではジュリア・チャイルドになりきれるよう、共演者に自分が最も信頼できる俳優を起用してくれるようプッシュしたのかもしれない。彼女はジュリア役でゴールデングローブ賞 主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞しているが、YouTubeにアップされた本物のジュリアを見ると、身振りな話し方がそっくりで驚かされる。

 この映画がいいのは、夫婦の在り方がとても素敵に描かれているところだ。特に素晴らしいと思ったのは、ジュリアの夫ポール。
 ポールは公務員だが、詩人・写真家の顔をもつ芸術家でもあり、フランス料理にも造詣が深い教養人だ。
 ふつうなら、そういう人物は妻を見下しそうだが、彼はジュリアの料理する姿が大好きで、妻が素晴らしい能力の持ち主であると信じて温かく見守り、ここぞというところで後押しする。たとえば、「君ならテレビに出られるさ」という具合に。
 
 バレンタインデーのパーティで、中国で友人として食事に行ったとき、ジュリアは「運命の人」だとわかったと招待客の前で語り、
「僕がパンなら、君はバター」とジュリアを見つめながら言う。
ジュリアもポールのことをとても尊敬していて、第二次世界大戦を終結するために、彼がいかに活躍したかを語る。

「想いをきちんと言葉にして伝えること」
「パートナーの目に見えない才能を信じて支え続けること」は
よい夫婦であり続けるために、とても大切なことなのだ。


 このポール役を演じているスタンリー・トゥッチが実に魅力的。
『プラダを着た悪魔』も見ているはずなのに、「こんなにいい俳優がいたのか!」と思うほどだ。
 メリル・ストリープは彼が上手い役者だと知っていて、もっと世に出ればいいのにと思っていたに違いない。
 (リアルな世界では、ポールとジュリアが逆転していたのかも?)

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 この夫妻も、ポールが赤狩りに巻き込まれて冷遇されたり、ジュリアが8年もかけて書いた原稿が最初に持ち込んだ出版社から出版を拒否されたりと、何度か危機的な状況に遭遇するのだが、一人が失意の底にいるときは、もう一人が励まして、いつも二人で乗り越えていく。

 映画には描かれていないが、ポールの退職とともに二人はボストン郊外のケンブリッジに住み、ジュリアが出版する本のイラストを描いたり、写真を担当したりして彼女の仕事をサポートしている。
 余談だが、映画の最後に登場するジュリアの台所(写真)はワシントンDCのスミソニアン博物館に展示されている。たくさんのお鍋がオーナメントになっていて、ジュリアの人柄そのままに、キュートで温かい。

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 ジュリーの夫エリックもジュリーのキャリアに欠かせない存在だ。
途中で料理とブログに熱中する妻に嫌気がさして家を出たりすることもあるけれど、彼女の料理の最大のファンは彼で、いつも実においしそうに料理を食べ、最大限の賛辞を述べてくれる。エリックの存在がなかったら、ジュリーが料理を作る続けることは絶対できなかっただろう。というか、もし私がエリックだったら、胃腸を壊して入院するか、10キロ以上太ってしまうに違いない。料理研究家に必要なのは、グルメで丈夫な胃をもつパートナーのようだ。

 ジュリーはプロジェクトを無事完了したお祝いのパーティで、エリックに
「私がパンなら あなたはバター 私の命よ」と言って感謝の気持ちを伝えている。
 40年前に夫のポールが言ったセリフを現代では妻のジュリーに言わせたところに、脚本家の小粋なはからいを感じる。

監督・脚本のノラ・エフロンは『めぐり逢えたら Sleepless in Seattle 』(1993)や『ユー・ガット・メール You've Got Mail (1998)』を手掛けたヒットメーカーだ。ハリウッドらしい大団円のハッピーエンドは、予想されていたとはいえ、やはり見ている人間を幸せな気分にさせてくれる。

 ところで、この映画、実は「学歴」という観点から見ても興味深いものがある。
ジュリアの母校スミス・カレッジは、アメリカ東部の名門女子大セブン・シスターズの一つであり、『風と共に去りぬ』のマーガレット・ミッチェルなど、錚々たる人材を輩出している。偶然も私の親友もスミスの出身で、日本からわざわざ同窓会にかけつけるほど愛校心が強いのだが、ジュリアも晩年住んでいた家とスタジオをスミスに寄贈したほど母校を愛していた。

 主演のメリル・ストリープは同じくセブン・シスターズのヴァッサー・カレッジの出身。そして、脚本・監督のノラ・エフロンの母校はヒラリー・クリントンも出たウェルズリー・カレッジ。3人とも恵まれた家庭に育ち、名門女子大を出た“お嬢様”だけれど、中高年といわれる年齢になっても、社会にインパクトを与える仕事をしている。“粘り強さ”は女子大の特徴か?

 ちなみに、ジュリー・パウエルはマサチューセッツのアムハースト・カレッジの出身で、この伝統あるリベラルアーツのカレッジは、規模こそ小さいがウィリアムズ、ウェズリアンと並ぶ東部の名門校である。映画ではさえないOLに見えたけど、彼女もジュリア同様、潜在能力の高い人だったわけだ。夫のエリックも「ジュリーなら、きっかけさえつかめば、何かできるハズ!」と常々思ってたんだろうなあ。

 実際のパウエル夫妻はこちら。なかなかお似合いの微笑ましいカップルである。

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